法定相続人とは

法定相続人とは、民法で定めている相続人の範囲(順番)のことです。

相続税額の算出では、この法定相続人と相続分がかかわってきます。

配偶者(妻または夫)は、常に相続人となりますので、配偶者以外の相続人について、次にように順番が決まっています。

1番目(直系の下の世代)

死亡した人の子供(その子供がすでに死亡しているときは、その子供)

2番目(直系の上の世代)

子供が孫がいない場合には、死亡した人の父や母、祖父や祖母となります。

3番目(兄弟姉妹)

子供や父母がいない場合には、死亡した人の兄弟や姉妹となります。

養子縁組

日本の養子制度には、適用が穏やかな「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2つがあります。いずれにしても「実子」とおなじ取扱いになります。

普通養子縁組

原則、成人の人であれば養親になることができ、養子になる人との合意にて届け出れば成立します。離縁についても原則協議していつでもできます。重要な点は、養子は実父母との血縁関係が切れるわけではないという点です。

特別養子縁組

一方が25歳以上の成人している夫婦が養親となり、家庭裁判所の申し出時に6歳未満の子供が養子となります。離縁については家庭裁判所の承認が必要となります。重要な点は、特別養子縁組が成立した時点で、養子と実親との親子関係は消滅する点です。

相続税法上の養子の人数

以上のように民法上は、養子についての人数の制限はなく、申請または合意によって成立します。しかしながら、相続税法では法定相続人の数によって基礎控除がきまるため、養子の数が多ければ多いほど課税される金額が少なくなります。したがって一定の制限を設けています。

①被相続人に実子がいる場合・・・法定相続人の数に加算する人数は1人まで

②被相続人に実子がいない場合・・・法定相続人の数に加算する人数は2人まで

相続税法上の養子縁組の注意点

①前述しましたように「特別養子縁組」によって養子となった人は、実親との身分関係は消滅しますので、上記の人数制限等の規制は受けません。

②被相続人の配偶者の連れ子(実子)で、その被相続人と養子縁組をした人は、被相続人の実子として上記の人数制限等の規制は受けません。

③結婚前に配偶者の特別養子縁組により養子となっていた人で、被相続人との結婚後に被相続人の養子となった人も実子として上記の人数制限等の規制は受けません。

代襲相続人

被相続人より前に子供や兄弟姉妹が先に亡くなっている場合、または相続欠格や廃除によって相続権を失った場合に、その相続権を引き継ぐことを代襲相続といいます。

この代襲相続によって相続権を引き継いだ人を代襲相続人とよびます。

子供の場合には孫が、孫も死亡している場合にはひ孫と、無制限に引き継いでいきます。

一方、兄弟姉妹はその子供である甥や姪までの1世代下までとなります。

なお、相続における権利義務(遺留分等)および相続分は、そのまま引き継ぐこととなります。

養子縁組での注意点

養子縁組による養子の子供は、すべて代襲相続人になるとは限りません。

①養子縁組の前に生まれた子供は、代襲相続人にはなれません。

②養子縁組の後に生まれた子供は、代襲相続人になれます。

上記の場合、常子さんは養子縁組の前に生まれているので代襲相続人にはなれません。

上記の場合には、養子縁組の後に生まれていますので代襲相続人になれます。