被相続人が老人ホームに入所し相続が発生した場合でも、配偶者がその被相続人と一緒に住んでいた土地家屋を相続したときには、小規模宅地等の特例を受けることができます。
1.要件
①被相続人が老人ホームに入所前または入所後に、要介護認定または要支援認定を受けていること。
②家屋を、事業用や貸付用にしないこと
③次に掲げる施設であること
(イ)老人福祉法第5条の2第6項に規定する認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居、同法第20条の4に規定する養護老人ホーム、同法第20条のに
規定する特別養護老人ホーム、同法第20条の6に規定する軽費老人ホーム又は
同法第29条第1項に規定する有料老人ホーム
(ロ)介護保険法第8条第27項に規定する介護老人保健施設
(ハ)高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条第1項に規定するサービス付き高齢者向け住宅((イ)の有料老人ホームを除きます。)
(ニ)障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第5条第11項に規定する障害者支援施設(同条第10項に規定する施設入所支援が行われるものに限ります。)又は同条第15項に規定する共同生活援助を行う住居
夫婦のうち奥様が認知症になり、夫も自分の身の回りのことができないため、夫婦同時に老人ホームに入所することが良くあります。
通常、土地建物の名義は夫であり、このような状況で先に夫が死亡した時は、注意が必要です。
老人ホームに入所した際に、被相続人の居住用宅地であるためには、
あくまで「被相続人」が要介護・要支援の認定を受け、老人ホームに入所することが要件です。
上記の場合には、被相続人の奥様が要介護状態で老人ホームに入所していますので、小規模宅地の特例は使えないこととなります。
したがって、夫は入所するにあたって、居住用財産を売却した際の特別控除など、他の特例の適用も視野に入れ、入所を検討する必要があります。