米国(アメリカ合衆国)相続税 (遺産税)についてQ&A

米国(アメリカ合衆国)における相続手続きは、日本と大きく異なります。ここでは米国相続に関する よくある質問を解説します。

遺産税とは何ですか

 

被相続人からその財産が相続人に相続される時にかかる税金です。遺産税は国税に相当する連邦税と、地方税に相当する州税があります。州によって州の遺産税がないところもあります。

 

遺産税は誰が払うのですか

 

被相続人が遺産税を払います。日本では相続人が相続税を払いますが、アメリカでは亡くなった人が払います。しかし、亡くなった人は、生きていないため行動することができません。そこで、遺産財団が被相続人に代わり処理をします。

 

州税もあるのですか

 

日本の相続税は国税ですが、アメリカは国税にあたる連邦税だけではなく州税があります。 例えると、東京都、神奈川県、千葉県にもそれぞれの相続税があると言うようなものです。しかし、すべての州に相続税があるのではなく、埼玉県には相続税がないと言う状況になります。さらに、州ごとに課税の金額などやり方は統一されていません。すなわち、州によってそれぞれ事情が異なります。

 

遺産財団とは何ですか

 

被相続人には行為能力がないので、被相続人を代理する遺産財団が設立され、遺産管財人が遺産の分配や納税などの処理を行います。遺産財団は亡くなった時に設立され、財産が相続する人に渡され、申告手続きが終わるまで存続します。遺産財団が処理をするため、相続をする人は日本と異なり、税金の処理が終わった財産を受け取ることが基本です。

 

遺産管財人は誰が選ぶのですか

 

被相続人は事情を良く知っている友人や親族等を生前に遺産管財人として決めておき、遺言の中で指定します。金融機関が遺産管財人となることもあります。利害関係者であると問題になることがあるので注意が必要です。決められていない場合、裁判所が任命することになります。

 

検認裁判とは何ですか

 

アメリカの相続は検認裁判所で法に従い相続が行われます。法は被相続人が住んでいた州の法となりますが、アメリカに住んでいない人は財産が存在する州の州法で財産の処理を行います。州ごとにある程度法律が異なることになります。正式な検認裁判と略式のものがあります。

 

検認裁判はどのくらい時間がかかりますか

 

日本から検認裁判の処理になると、準備期間を入れて1年近くかかってもおかしくありません。むしろ1年以上かかると見たほうが良いでしょう。紛争が起きた場合5年、10年、あるいはそれ以上の期間争うこともあり得ます。 略式の場合、2,3か月程度ですが、国が違いますので、日本と同じようにすべて能率的に物事が運ぶとは限りません。

 

日本の遺言書はアメリカでも有効ですか

 

遺言書があれば検認裁判所で検認され、その遺言に従い財産が相続されます。日本語の遺言書の場合は、英訳して裁判所に提出されます。日本語で書かれているので有効とか無効と言うことではなく、内容により遺言書通りに遺産が相続されないこともありえます。遺言書がない場合は、州法により相続が行われます。

 

なんでも検認裁判になるのですか

 

共有財産で自動的に生存配偶者に相続されるもの、生命保険のような受取人が決められているもの、トラストの財産などは、必ずしも裁判を経ないで相続されます。

 

米国の遺産税の申告期限はいつですか

 

被相続人の亡くなった日から9か月以内に申告をします。しかしながら、処理が間に合わない場合は半年の延長を申請できます。日本の申告期限10か月との関係が出てくるので、どのように処理を進めるか調整が必要になります。

 

配偶者控除が使えますか

 

夫婦の場合で生存配偶者がアメリカ市民の場合、無制限の配偶者控除が使えます。つまり夫婦間でアメリカ市民が財産をもらう場合は、遺産税がかかりません。しかしながら生存配偶者が非アメリカ市民の場合、無制限の配偶者控除はありません。

 

基礎控除がありますか

 

一定の金額まで遺産税がかからない基礎控除がありますが、基本はアメリカ市民を対象にしたものです。しかし、アメリカ市民以外の場合、相続税条約がなければ基礎控除を使えません。

 

その他注意することはありますか

 

日本人の場合、アメリカ側だけの処理で終わらないことになります。日本の戸籍謄本や、遺言書等々の日本語の書類を翻訳することになります。 日本人の場合アメリカの財産が小さくても、控除額が限定されるので、アメリカの遺産税の課税が発生する可能性があります。さらに、アメリカの相続であっても日本の相続や税法とは無縁ではなく、日本からアメリカの相続を見る視点がどうしても必要になります。

 

日米相続の二重課税とは何ですか

 

日本もアメリカも相続の財産は世界中の財産を対象にします。日本の相続を行う時にハワイにあるコンドミニアムは日本の相続税の外だと言えないのです。アメリカはもちろん、自国内にある財産は外国人のものであってもアメリカの相続税の対象にします。 日本は日本だけの相続税の処理を行い、アメリカはアメリカだけの相続の処理を行えば、単純に同じ財産に日米で二重に課税されてしまうことになります。この日米にまたがる領域を処理しなければなりません。

 

日本に相続税を納めるのでアメリカは無関係ではないですか

 

日本人であっても、アメリカ国内に存在する財産はアメリカの税法で課税されます。しかも日本の課税に優先して課税されます。日本の相続税を納付することは、アメリカの遺産税を納付したことにはなりません。

 

遺言書は一度作れば十分ですか

 

必ずしもそうとは言えません。遺言書を作ってから家族が増えていることがあります。逆に離婚をして遺言書を修正しないと、離婚した配偶者に財産が行ってしまうこともあります。遺言書を現状に合わせて見直す必要があります。

 

相続での紛争

 

財産が誰に帰属するかで紛争になることがあります。アメリカの財産については、当事者の住んでいる州か財産の存在する州での裁判になります。この場合、何年も争いが続き裁判費用だけで相続財産の40%以上とかと言うこともあり得ます。一度もめた場合、裁判費用がかなりかかることになります。

 

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